「線香の匂い」あとがき
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 親戚のひとりが去年亡くなり、今年が初盆でした。線香の匂いの充満する部屋に通され、日本の夏の匂いだな、と思いました。
 何故でしょう。そう感じたのです。(蚊取り線香の匂いも普通の線香の匂いと同じでしたっけ? だとしたらその所為ですね。しかし。蚊取り線香の匂いって、今の若者は知っているのでしょうか?)
 夏らしい短編をひとつ書きたいと思っていたときだったので、そこからするするとお話が浮かんでいきました。
 ただ夏の匂いの感じられる平凡で淡々とした一日を書きたいと望んでいたのですが、頭のなかであれこれ練るうちに、最終的にはこのようなお話となってしまいました。少しは背中に冷たいものが走って涼しくなったりしましたでしょうか? どうかな?
 人間の人間に対する暴力については思うところは色々あるのですが、今回はこの程度のことしか書けませんでした。
 主人公の真衣の感覚が、どこかおかしくなっていると感じていただけたなら、それは日々繰り返された暴力の所為でしょう。恐怖は人間の心を捻じ曲げます。
 ぼんやりとただ宙を彷徨っているだけの霊よりも、生きている人間のほうが何倍も怖いと常々思っている作者でした。
 感想等ございましたらこちらまでお願いします。


 2006/9/4 choco
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